【今も飛び続ける元ANA747・後編】元ポケモンジェットに「魔改造機」も…個性派ジャンボがゆく
成田国際空港 2007年12月24日撮影 JA8098 ボーイング747-481 全日空
今も世界で活躍する元ANA747-400を紹介する後編。前編では、「マグマ・アビエーション」で飛び続ける機齢35年の機体や、日本にも飛来する「アトラスエア」の機体を取り上げました。今回は「元特別塗装機」や、7月に1年10か月ぶりに空を舞った機体など、個性豊かな元ANA機をご紹介します。
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元ANA「JA8958」
ACTエアラインズ
Boeing 747-400 (BDSF)「機体記号:TC-ACG」© FlyTeam Huang ChengJenさん台湾桃園国際空港 2024年7月11日撮影 TC-ACG ボーイング747-481(BDSF) ACTエアラインズ
前編に続く5機目は、「ACTエアラインズ」の「機体記号:TC-ACG」です。同社は、トルコのイスタンブールに拠点を置く貨物航空会社で、現在2機の747-400(BDSF)を運航。その2機ともが、元ANAの747-400です。なかなか日本に里帰りする機会は無いようですが、香港に飛来することが多々あるようです。
© FlyTeam カヤノユウイチさん米子空港 2010年11月23日撮影 JA8958 ボーイング747-481 全日空
同機は1992年の製造後、2011年まで「JA8958」としてANAで活躍。2012年以降はACTエアラインズに所属し、途中サウジアラビア航空へのリース期間を経て、現在も飛行を続けています。フライチームの公開画像には、ANA時代に「JA8958」として、米子空港に飛来した貴重な一枚が残っていました。
元ANA「JA8962」
ACTエアラインズ
Boeing 747-400 (BDSF)「機体記号:TC-ACF」© FlyTeam ぼんやりしまちゃんさんイスタンブール空港 2024年3月4日撮影 TC-ACF ボーイング747-481(BDSF) ACTエアラインズ
ACTエアラインズが運航する2機目は「TC-ACF」で、こちらも同社が運航する貨物便で飛行を続けています。1993年の製造から2011年まで「JA8962」としてANAで活躍。貨物機に改造後は、2011年からACTエアラインズに所属し、先述の機体と同じく、サウジアラビア航空へのリースを経て、現在も運航されています。
© FlyTeam NAOTOさん伊丹空港 2005年10月13日撮影 JA8962 ボーイング747-481 全日空
ANA時代には1999年から2006年まで、特別塗装機「ポケモンジェット US バージョン」として活躍。トリトンブルーに、キャラクターたちが大きく描かれた機体デザインが懐かしいです。
元ANA「JA8098」
金鵬航空
Boeing 747-400 (BDSF)「機体記号:B-2437」© FlyTeam JA1118Dさんオヘア国際空港 2025年5月22日撮影 B-2437 ボーイング747-481(BDSF) 金鵬航空
今回最後のエアラインは、中国の「金鵬航空」です。同社は直近で2機の元ANA 747-400を飛行させており、そのうち1機は世界的にも珍しい「魔改造機」です。
まず紹介するのは、「機体記号:B-2437」です。こちらの機体は、1991年から2010年にかけてANAの「JA8098」として運航。その後貨物機に改造され、2011年から金鵬航空の前身である、揚子江快運航空で飛行を開始しました。なかなか日本に飛来することはありませんが、中国からアンカレッジに向かう際などに、日本上空を飛行することは多々あるようです。
© FlyTeam Kinyaさん成田国際空港 2006年9月20日撮影 JA8098 ボーイング747-481 全日空
こちらは、ANA時代の機首部分を写した1枚。思えば、747はどの部分を切り取っても画になる、素晴らしい被写体であったように思います。なお、同機はANA 747-400の中で、初めて側面部のロゴが「全日空」から「ANA」に変更された機体でもあります。
元ANA「JA402A」
金鵬航空
Boeing 747-400 (BCF)「機体記号:B-2432」© FlyTeam NIKEさんアムステルダム・スキポール国際空港 2022年2月13日撮影 B-2432 ボーイング747-481(BCF) 金鵬航空
2機目は「機体記号:B-2432」で、ANAでは「JA402A」として1998年から2007年まで運航されました。同機の「魔改造」ぶりは凄まじく、ボーイング・エバレット工場では通常の「ウィングレット」付き-400として製造され、当初は国際線に投入されました。その後、2003年頃にボーイングで「ウィングレット」取り外しと、機内仕様の改造を行い、国内線専用-400Dとして就航。ANA引退後は「ウィングレット」を再装着し、貨物機への改造を施した-400BCFとなり、現在の金鵬航空に移籍しました。つまり、2度の大規模改造を経験し、さらに現在唯一残る「元-400D型」ということになります。
© FlyTeam piratさん伊丹空港 2001年8月4日撮影 JA402A ボーイング747-481 全日空 © FlyTeam BENNYさん那覇空港 2006年7月18日撮影 JA402A ボーイング747-481(D) 全日空
同機は2023年に運用を離脱し、上海浦東空港にて駐機が続いていました。フライトレーダー24によると、2025年7月31日、上海〜厦門空港間でフェリーフライトを実施し、約1年10か月ぶりに空を舞いました。現在は再度保管状態に移行しているとみられますが、同機がまた空を飛ぶことがあるのか、このまま引退してしまうのか、今後の動向が注目されます。
以上、今も飛び続ける「元ANA 747-400」を前・後編に分けて紹介しました。8機もの機体がいまだに飛んでいることに驚きつつも、今後も末長く活躍してくれることを願いたいと思います。皆さんもこの夏、今も活躍する元ANAジャンボ達に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
元ANA 747-400 現役一覧(2025年8月時点)
ANAでの機体記号 航空会社 機体記号
JA8094 マグマ・アヴィエーション TF-AMP
JA8095 アトラスエア N429MC
JA404A アトラスエア N263SG
JA405A アトラスエア N322SG
JA8958 ACTエアラインズ TC-ACG
JA8962 ACTエアラインズ TC-ACF
JA8098 金鵬航空 B-2437
JA402A 金鵬航空 B-2432