By WATCHNAVI salon

〈500本限定の激レアG-SHOCK〉日本の伝統技法「鎚起」で個体ごとに異なる模様をあしらったMR-G

耐衝撃ウオッチ【G-SHOCK】の最上位シリーズ「MR-G」の新製品として、「MRG-B5000HT-1JR」を2025年8月8日（金）に世界限定500本で発売する。価格は93万5000円（税込）。

MR-Gと日本の伝統技法が融合

「MRG-B5000HT-1JR」は、初代G-SHOCKの角型フォルムを継承した「5000」シリーズをベースに、日本の伝統技法である鎚起（ついき）を施すことで、力強さと優美さを併せ持つデザインに仕上げられている。鎚起とは、金属板を鎚で打ち出し、立体的な形状を浮き上がらせる鍛造技術であり、古くから装飾品や茶器などに用いられてきた。この鎚目加工を手がけたのは、鎚起職人・渡邉和也氏である。一点ずつ手作業で刻まれる立体的な模様は、たがねの先端形状や打ち込む力加減によって異なる微細な表情を持ち、唯一無二の存在感を放つ。

素材には、日本で開発されたチタン合金「DAT55G」が使用された。これは純チタンの約3倍の硬度を持ち、通常の工具では加工が極めて困難な素材である。渡邉氏はこのDAT55Gに対応するため、たがねの角度や厚み、ハンマーの重さ、柄の長さに至るまで、道具を一つひとつ調整し、専用工具を生み出していった。素材との対話を重ねながら試行錯誤を繰り返し、理想の鎚目を追求したのである。DAT55Gの鎚起加工について、渡邉氏は次のように語る。

「最初は正直、叩けるかどうか不安でした。金属や石材を加工するための工具である、通常の『たがね（鏨）』では歯が立たない。チタンって傷も目立ちやすくて、逆に叩きすぎると歪むなど、力加減ひとつで均一性が損なわれてしまうんです。たがねの研ぎ具合や打つ角度、深さ、どれもミスが許されない精度が求められました」

手作業ならではの“揃わなさ”の美と、時計として求められる精密さ。その両立という矛盾を乗り越えるため、渡邉氏は試作を重ねながら感覚と道具の調整を続けた。仕上がりは均一すぎず、かといって乱れすぎない絶妙なバランス。鎚目のわずかな違いが全体に影響を与えるため、常に高い集中力を持って鎚を振るい続けたという。

伝統技術の美と「G-SHOCK」の卓越した耐衝撃性を融合させた本モデルは、最上位シリーズ「MR-G」の名にふさわしい、重厚かつ洗練された特別な一本に仕上がっている。