猛暑で車両トラブル多発! 6割が「暑さ対策をしていない」
猛暑で車両トラブルが多発 ※画像はイメージです(Zoey106/stock.adobe.com)
近年、常態化しつつある猛暑により車両トラブルが増加傾向にあるといいます。Webメディア『カルモマガジン』を運営するナイル株式会社(東京都品川区)は、このほどインターネット調査および一般社団法人日本自動車連盟 JAFと株式会社オートバックスセブンへの取材をもとに、「猛暑と車両トラブル」に関する調査レポートを発表しました。それによると、暑さによる車両トラブルは、「バッテリー」と「エアコン」にまつわるトラブルで7割以上を占めることがわかりました。
調査は、車を所有する全国の男女2781人を対象として、2025年6月にインターネットで実施されました。
暑さによる車両トラブルの内容(提供画像)
同レポートによると、全体の5人に1人が「暑さによる車両トラブルを経験したことがある」(21.8%)と回答。具体的なトラブル内容としては、「バッテリーにまつわるトラブル」(37.2%)、「エアコンにまつわるトラブル」(36.3%)、「タイヤにまつわるトラブル」(5.9%)の3つで全体の8割近くを占めています。
JAFのロードサービス出動理由で最も多いのが「バッテリー上がり」だそうで、JAF認定セーフティアドバイザーの谷宗一郎さんは、「帰省時の渋滞中にエアコンをフル稼働し、ライトをつけたままスマホを充電するなど、電力の消費に対して発電機(オルタネーター)の供給が間に合わないと、突然バッテリー上がりを起こしてエンジンがかからなくなったりすることがあります」と注意を促します。
A PITオートバックス東雲のカーライフアドバイザー西部豪進さんも、「アイドリングストップ車の場合はエンジンの始動・停止が頻繁に繰り返されることで1~2年程度でバッテリー交換となったケースも見受けられます」と修理現場の様子を振り返ります。
他方、「エアコンにまつわるトラブル」の原因は、冷媒ガスの漏れや水分の混入、エアコンフィルターの目詰まりといった構造的な問題が大半といい、夏場にしか使用しないケースが多いことから、「数ヵ月ぶりの稼働によって劣化や硬化した部品に亀裂が生じたり、エアコンをつけるまで故障に気付いていなかったりすることが多いのも、夏場にトラブルが急増する理由の一つ」と西部さんは言います。
高速道路及び一般道と高速道路の合計におけるタイヤのトラブル件数は 5 年連続で8 月が最多(提供画像)
さらに、夏場はタイヤのひび割れや偏摩耗、バーストといった「タイヤにまつわるトラブル」が生じやすくなります。JAFの「ロードサービス救援データ」を見ても、公表されている2020~2024年度のすべてで「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」による高速道路での救援件数及び一般道と高速道路の合計件数は8月が最多となっています。
暑さによる車のトラブル対策をしていますか?(提供画像)
その一方で、「暑さによる車のトラブル対策をしている」と答えた人は、過半数の59.9%にのぼり、「対策をしている」と答えた人でも、果の薄い方法や逆効果となる対策を取っている場合があるといいます。
間違った認識の代表的な例の1つが「タイヤの空気圧調整」で、夏はタイヤ内の空気が膨張しやすいことから「事前に空気圧を下げておくことで適正値を保ちやすくする」という方法。
特に猛暑下では路面温度が60℃を超えることもあり、そうした状況で空気圧が低すぎると、「タイヤの異常発熱や内部構造の破損、バースト」「ハンドリングやブレーキ性能の低下」「燃費の悪化」といったリスクが発生しやすくなります。
なお、一般社団法人日本自動車タイヤ協会JATMAの調査によると、車のタイヤの空気は1ヵ月で5%ほど自然に抜けていくことから、月1回のペースで空気圧を点検することが望ましいとしています。
サンシェードでは車内温度を下げられない(提供画像)
もう1つの例が「サンシェードの利用」です。猛暑対策で「フロントガラスにサンシェードをする」という人は多いと思いますが、JAFが2012年に行った「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」では、気温35℃の炎天下において、白い車体の車両の車内温度はサンシェード未使用で52℃、アルミ製サンシェードを装着しても50℃に達し、車内全体の平均温度にはほとんど差がなく、車内温度を下げる効果はほぼ期待できないことがわかっています。
一方、サンシェードによってダッシュボードやハンドルなどの表面温度の上昇はある程度抑制されることから、体感として暑さが和らいだと感じる人は多い様子。しかし、猛暑が常態化する近年では、短時間で60℃以上に達することもあり得ることから、サンシェードはあくまで補助的な対策として捉え、猛暑時は車内温度の上昇そのものを防ぐ対策を検討することが重要といえます。
高くなった車内温度を少しでも早く下げるための方法として谷さんは、「すべての窓を全開し、エアコンを外気導入にして5分ほど走行したのち、窓を閉めてエアコンを内気循環に切り替える」という方法を推奨しています。
なお、猛暑下において特に推奨する対策について、JAFの谷さんとオートバックスの西部さんは以下のように解説しています。
▽車体の下に溜まる液体エアコンを使用すると車体の下に液体が溜まることがありますが、その量がいつもより多い、いつもはしない臭いがする、触るとベタベタするなど、普段と違いがあった場合は冷却水やオイルが漏れている可能性があります。そのような異変に気付くためにも、習慣化して平時の状態を把握しておくことが大切です。
▽タイヤの状態乗車前にタイヤを見て、ひび割れや溝の深さ、空気圧などを確認することで、走行中のバーストといったトラブルや、それによる事故のリスクを抑えやすくなります。
▽エアコンガスクリーニングエアコンガスクリーニングは、専用機器で冷媒ガスを抜き取り、水分や不純物を取り除いて再び補充するというメンテナンスで、冷房効果を向上させる効果があります。
◇ ◇
【出典】
▽カルモマガジン/【専門家ガイド】猛暑で急増する車トラブルーJAFとオートバックスに聞く、よくある誤解と正しい予防策
https://carmo-kun.jp/column/newcar/heatwave-car-issues/#hd093bfbe7b