【ガラスうつわレッスン】「夏の食卓に欠かせないのは、7~10センチ程度の小皿」「ミニ冷奴を盛るとかわいい」《敏腕フードスタイリスト直伝》
フードスタイリストの久保百合子さんによる、うつわレッスン。今回は、ガラスのうつわを特集します。涼やかなガラスのうつわ、日常生活に取り込むコツをあれこれと教えていただきました。
◆Vol.17 お話を聞いた人 フードスタイリスト・久保百合子さん
フードスタイリストの久保百合子さん。
『オレンジページ』や『きょうの料理』などの料理雑誌から、レシピ本などのスタイリングを手掛けて約30年のキャリアがある。シンプルかつ温かみのあるスタイリングにファンが多い。国内作家のものから外国のものまで、幅広くうつわを収集している。
夏の“ガラスうつわ”レッスン【7~10センチ程度の小皿篇】
夏の“ガラスうつわ”レッスン【7~10センチ程度の小皿篇】。
ガラスのうつわ、持っていて便利なものといえば、直径が7~10センチ程度の小皿もはずせません。夏の食卓を彩ってくれるのはもちろん、私は季節を問わず使うものもありますよ。
黒い漆器の上で存在感を放つガラスのうつわ。
ガラスの小皿といえば私はまず、和菓子を盛りたくなります。まだまだ続く残暑、水まんじゅうや水ようかんなど、涼を呼ぶお菓子はなんでもガラスの小皿と相性良し。熱いお茶の隣に添えることで、ひときわ涼しげな風情が感じられてきます。
素朴な焼き菓子の台座として輝くガラスのうつわ。
お菓子でいえば、私は洋菓子をガラスの小皿にちょこんとのせて、コーヒータイムに使うのも好きなんです。小さなカヌレ×ガラスの豆皿とコーヒーマグ、なかなかいい組み合わせじゃありませんか。小さなクッキーなどのプティフール、手割りしたチョコレートなどをのせるのもおすすめ。
おくらやもずく、ツルッと食べたいおつまみは特にガラスの小皿に合う
ちょっとだけ飲みたい日のおつまみ入れに。
飲み物に添えるといえば、おつまみをあえて少なめに小皿に盛るのも、見た感じにすっきりとしていいものです。今回は小さめに切った南蛮漬けと、おくらの甘酢和えを盛ってみました。おくらの和えもの、あるいはもずくなど、そのまま口に持っていき、ツルッと食べたいおつまみなどは特にガラスの小皿に合いますね。
ちなみに冷酒を入れているのは剣先コップと呼ばれる、日本の古いガラス製品です。口当たりのよさが魅力的で、各地で見つけたら集めているんです。クラシックな雰囲気が漂ってきませんか。
透明なガラスの小皿は素材それぞれの色が素直に活きる。
おつまみを盛るといえば、ガラスの小皿で私がやりたくなるのはミニ冷奴。豆腐一丁を全部同じ薬味や味つけで食べたくないとき、少しずつ切り分け、キムチとトマトの和えたの、山形の“だし”のっけ、塩とオリーブオイルにすだち添え、なんて感じでアレンジして、ちびちびとつまんで楽しんでいます。
直径7センチぐらいの小皿にふた口分ぐらいの豆腐をのせて、トッピングはお好みで。洗い物は増えるけれど、見た目のきれいさや遊び心を優先したい日もありますよね。このぐらいの小皿だと、そのまま箸置き的に使うのもいいです。
小皿に何を盛ろうか、あれこれ悩むのも夏ならではのお楽しみ。
少し深さのあるものは、薬味入れにも!
点心などの薬味入れにも活躍してくれるガラスの小皿。
ガラスの小皿で少し深さのあるものは、薬味入れにもおすすめ。細切りにしたしょうがの酢漬け、ねぎやパクチーの刻んだのなど、数種を置いておくと卓が華やぎます。
水餃子やしゅうまいなどの点心を食べるとき、私はよくこうやって使っています。熱いものの隣にガラス皿のアクセサリー、というのが楽しい。
今回使ったガラスのうつわは、京都のアンティークショップなどで買い集めた小皿類です。わりと手ごろな値段で手に入るものも多いですよ。もちろん現代の製品でそろえても同じように楽しめます。ガラスのうつわを上手に使って、夏だけでなく四季の食卓を自由に彩ってください。
写真左:ガラスのグラスは食器だけでなく、花器として使用することも。中の水も見えて、涼感たっぷり。
白央篤司
フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)がある。
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