「高橋海人さんの目には浄化作用があるんですかね?」長谷川晴彦Pの心をわしづかみにする表現力<DOPE 麻薬取締部特捜課>
「DOPE 麻薬取締部特捜課」第3話より
King & Prince・高橋海人と中村倫也がW主演を務める金曜ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)が現在放送中。同作は、近未来の日本を舞台に、犯人の更生を願う真っすぐな新人と、型破りな麻薬取締官の正反対バディが、謎に包まれた新型ドラッグ「DOPE」によって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく“麻取アクション・エンターテインメント”。
高橋は新人麻薬取締官の才木優人を、中村は才木の教育係・陣内鉄平を演じている。その他、「麻薬取締部特捜課」のメンバーとして、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、フェルナンデス 直行、熊井啓太、敵対する犯罪シンジケート「白鴉」のメンバーとして、井浦新、久間田琳加らが出演中。
このたび、WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める長谷川晴彦氏にインタビューを実施。キャストの起用理由や印象的だったシーン、作品を通して伝えたいことなどを聞いた。
高橋海人は「本当に目がきれい」
――主演・高橋海人さんの魅力と起用理由を教えてください。
高橋さんは、本当に目がきれいです。あと、肌感覚でお芝居をされる方なのかと思っていたら、すごく熟考される方でした。天才肌の人だと思っていたのですが、すごくお勉強されて、役作りの段階からいろいろご相談もあって、キャリアは長い方ですが、お若いのにすごくしっかりされている方だなと思いました。
オファーしたとき、まだ24,5歳だったんじゃないかな。すでにいろいろな作品で実績を出されているように、その世代の中でも抜きん出た実力の持ち主であるということと、あと、笑顔がめちゃめちゃかわいいいじゃないですか。
才木って実はあまり笑っていないんですよ。そういう狙いなのですが、あまり笑わないで、時折見せる笑顔がすごく魅力的な人がいいなというのも考えていたので、そうなると、高橋さんとやってみたいなという気持ちがありました。
――これまでの放送話で、特に印象的だったシーンはありますか?
第3話で、才木の母・美和子(真飛聖)がDOPE依存者更生施設を退所するところで、台本上は、才木と美和子が既に座っていて、「退所していいって言われたよ」といった感じでシーンが始まる予定だったのが、当日、段取りで高橋さんが「最初、取り留めもない話から入っていいですか」「テーブルについたらお母さんの手を握ってもいいですか」って。
「ぜひそれはやってみましょう。1回見せてください」と言って段取りを見ていたら、その優しさにボロボロ泣いてしまって。想像していなかったので、すごく感動したのと、そういうふうに考えてくれていたんだという意外性もありました。
あとは、やっぱり第1話の屋上のシーンですよね。ドーパーに関しての考え方が違う陣内に、才木が思いを伝えるところ。あそこは、あんなにボロボロ泣くところではないと思うんですよ。でも、高橋さんの思いがしっかり詰まっていて、夕日も相まってそこでも泣いてしまったし、その後のラストシーンも泣いてしまったんですよね…。
「変えられます」「俺の力はそのためにあるんです」と、才木が真摯に真っすぐな瞳で言うじゃないですか。本当に感動しましたね。高橋さんの真摯な目には浄化作用があるんですかね?なんか泣いてしまうんですよね。
――アクションシーンで印象的だったシーンはありますか?
実は、すごく分かりやすいアクションって第2話と第3話しかないんですよね。第2話は、千葉にあるショッピングモールで3日間、朝から晩まで撮影しました。
高速移動の異能力を持ったドーパー・吉岡隆太(橋渡竜馬)との対決だったので、「すごく早いスピードでここを通りますよ」と説明しながら、田中信彦さんのVコン(ビデオコンテ)を見ながらみんなで撮影に臨むのですが、そもそも田中さんのVコンがCGを入れてくれていたりして、すごく精度が高くて。
アクションとVFXがお互い高め合うのがすごく良かったし、VFXが絡む撮影を初期の段階でやって手応えもあって、その後のアクションシーンを占えたので、すごく印象に残っています。
最終話のアクションシーンは、いよいよジウがバトルに入ってきますから、異能力を使って攻撃してくるジウに才木と陣内がどう対峙していくのか、今まで描いてきたアクションとはまた全然違う感じになるので、面白いと思います。
「DOPE 麻薬取締部特捜課」第2話より
「DOPE 麻薬取締部特捜課」第7話より
「素晴らしい瞬発力と対応力を見せてくれました」
――高橋さんは、今作で本格的なアクションに初挑戦とのことでしたが、現場での様子はいかがでしたか?
運動神経が元々ずば抜けていいんですよ。なので、アクションが初挑戦な感じはしなくて。アクションって型を覚えるじゃないですか。振り付けみたいなものなので、やっぱり高橋さんは覚えるのがものすごく早いし、普段ご自身でも振り付けをされるぐらいなので、素晴らしい瞬発力と対応力を見せてくれました。
あと、才木優人という役がすごく難しいと僕は思っていて。要は、陣内とジウというものすごく魅力的な演じやすいキャラクターがいる中で、主人公としていなくてはいけない。その中で才木を立たせるというのは、ものすごく難しかったと思います。
でも、高橋さんって本当に真面目な方だし、日頃すごく忙しい中でもずっと台本のことを考えてくださっていたんだろうなって。終盤、いろいろなアイデアとかセリフをお話しいただいて、僕も第7話以降は高橋さんと一緒に作ったなという感覚が強くて、高橋さんもそういうやり方は初めてとおっしゃっていたので、そういう意味では、一緒に才木という役を作る中で、僕も成長できたし、高橋さんも成長なさったんじゃないかなと思います。
――キャスト陣が苦労していたシーンや手応えを感じていたようなエピソードがあれば教えてください。
役者さんたちがとにかく大変だと言っていたのは、第3話のDOPEの密売人・ジャヒド(植野行雄)との対決シーンです。港にある倉庫の中で撮影したのですが、ほこりがすごいんですよ。なおかつ、外に出ると海風がすごくて、強風で、結構過酷な環境でした。
2日間丸々みんなで閉じこもって撮影していて本当に大変だったと思うし、環境も過酷なのに、さらに「ここで電線が飛んできます」とか「クレーンが落ちてきます」と言われて。台本に書いている僕もあまりよく分かっていないんですよ(笑)。だから、本当に頭も体もフル回転でやっていらして、皆さん、あそこのシーンは大変だったとおっしゃっていました。
「DOPE 麻薬取締部特捜課」第3話より
最終話では、才木と陣内がジウと戦うわけですが、これも群馬の方の浄水場に行きました。建物の中で、ある程度エアコンが効いていると聞いていたのですが、やっぱり4、50人のスタッフがいるとエアコンもちゃんと効かなくて。高橋さんは黒スーツだし、井浦さんに関しては革のコートだし、すごく暑い中で撮影をしたので、いろいろな役者さんが差し入れにアイスを何度も買いに行っていました。
「異能力者たちの悲哀というものを描きたい」
――長谷川さんが本作を通して伝えたいことはなんですか?
異能力者が、その能力を怖がっていたり畏怖の念を持っている人たちに、嫌なことを言われたり嫌な思いをさせられる中で、それでも困っている人たちを助けていくというのが通常なのですが、今作ではその手法を取らずに、自分たちが命を懸けて戦っているのに、それを近親者にも伝えられないというジレンマを抱える異能力者たちの悲哀というものを描きたいと思ってやってきました。
あと、やっぱり僕は、次々と試練が降りかかる中でも、才木がそれに負けない強い気持ちで立ち向かっていくというところに、感動や共感があるのではないかなと思っているので、そういうところをしっかりと描いていきたいなと思っています。
「DOPE 麻薬取締部特捜課」第1話より
※高橋海人の「高」は正しくは「はしご高」