空へと旅立った文鳥のむーちゃん…悲しくも温かい最期に「優しい世界を見せてくれてありがとう」【漫画】

『ぼくは むーちゃん』より

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、漫画『ぼくは むーちゃん』を紹介する。獣医師の寄崎まりをさん監修のコミックエッセイ『トリ扱い説明書』(KADOKAWA刊)の著者として知られる鳥野ニーナさんが、8月15日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.1万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、鳥野ニーナさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

温かくて切ない別れの物語

『ぼくは むーちゃん』より

シルバー文鳥のむーちゃんは娘のちいち、かいぬしと暮らしていた。身体の不調や眠気といった変化に戸惑いつつも、眠る前にカナリーシードを食べてご満悦のむーちゃんは明日は何をしようかと期待に胸を膨らませて眠りにつく。

自分の名前を呼ぶかいぬしの声で目を覚ましたむーちゃんは、普段と違う様子のかいぬしが気になりながら、身体の軽さを感じて羽を広げて飛んでいった。すると亡くなった妻・にゃーちゃんが姿を現わし、彼女から“空の上に連れて行ってあげる”と言われるが、ちいちとかいぬしが寂しい思いをしてしまうと考え、むーちゃんはためらってしまう。しかしにゃーちゃんに「またいつか、必ず会えるから」と優しく告げ、2羽はともに飛び立っていき…。

この切なくも希望を描いた漫画を読んだ人たちからは、「優しい世界を見せてくれてありがとう」「きっと今でも元気に飛んでるね」「綺麗過ぎて前が見えない」「また会える、その通りだと思う」など、多くのコメントが寄せられている。

実体験に祈りと心を重ねて描かれた名作漫画

『ぼくは むーちゃん』より

――本作では、むーちゃんがにゃーちゃんと共に飛び立っていく姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

我が家のシルバー文鳥のむーちゃんはスラっとした体で力強く羽ばたき、水が流れるような美しい歌を歌う子でした。ここ最近で老化が進み、足の力も弱りもう飛ぶことも歌うこともできなくなっていました。作品の中で、むーちゃんが妻のにゃーちゃんや過去に一緒に暮らしたインコのメルちゃん、仲間たちと再会して、どこまでも続くきれいな空を歌いながら一緒に飛んでいく姿には、私自身の祈りや供養の気持ちを込めました。むーちゃんのなきがらを見つめるちいちの様子も大切な場面です。鳥さんは小さな体に大きな心を宿していて、その感情は私たち人間に深く響くものだと思っています。そうした鳥さんの心の豊かさを感じ取っていただけたら嬉しいです。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

特に気に入っているのは、ラストの2ページです。うすいピンク色の雲の中を飛ぶシーンで描いた「飛んでいけるの どこまでも どこまでも…」というセリフに、私の思いを込めました。むーちゃんの姿は目には見えなくなっても、永遠の命となって大空を飛び、歌い続けている…そう信じています。お別れは悲しいけれど、むーちゃんがすべてから解放され、幸せな気持ちでいてくれることを願って。このシーンを描くために、私はこの漫画を描きました。

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

作品のストーリーは、ふとした瞬間に思い浮かぶことが多いです。リラックスしているときや散歩をしているとき、または強く気持ちが動かされた瞬間に、絵や物語のイメージが自然と頭に浮かびます。

――今後の展望や目標をお教えください。

これからも、自分の心が動くままに、描きたいものを自由に描き続けていきたいです!

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

描きたい作品のジャンルがその時々で変わっていくので読者の皆さんを振り回してしまっているかもしれません。気が向いたときにでも私の作品を読んだり絵を見ていただけるととても嬉しいです!