王室を離脱したヘンリー王子とその家族の称号問題:子供たちの名字や称号「殿下」の使用可否などなど
英王室の爵位や称号は扱いが複雑

英国王室において、名字や爵位、各種称号の扱いにはさまざまなルールがある。2020年に王室を離脱したヘンリー王子とメーガン妃も、そういった慣習からは無縁ではいられない。子供たちの名字や称号をめぐって、何度もトラブルが起きている。
出生証明書に問題が

ヘンリー王子とメーガン妃の娘リリベット・ダイアナが生まれたのは2021年6月のこと。数週間後に『People』誌が出生証明書を入手したのだが、そこにはいくつか驚くべき事実が隠されていた。
画像:Netflix
モンテチート至近の病院で生まれる

最初に注意を引いたのは、リリベットが6月4日午前11時30分に、サンタ・バーバラ・コテージ病院で生まれていたことだ。同病院はふたりが英国を離れて移り住んだ米国の高級住宅地モンテチートから目と鼻の先。ちなみに、最近公開されてバズった(炎上した?)メーガン妃の「ベイビーママ・ダンス」動画もこの病室で取られている。とはいえ、病院の立地は大きな問題ではない。
サセックス公爵、ヘンリー王子殿下

それよりも重大なのが、ヘンリー王子の名前の記載方法だ。王子は父親として、名前が「サセックス公爵、ヘンリー王子殿下」とされていたのだ。これは尋常ではない。ちなみに、「殿下」の称号は「ヒズ・ロイヤル・ハイネス」の訳で、英語の頭文字から「HRH」とも略される。女性に付される場合は「ハー・ロイヤル・ハイネス」になるが、略称は「HRH」のままだ。
王室離脱時の合意内容は

もちろん、ヘンリー王子とメーガン妃は2020年初頭に公式に英王室から離脱している。後に宮殿側が認めたが、ふたりはそれでもHRHの称号を保持しているものの、公には使用しないことになっていたという。離脱時の交渉から、原理的にはHRHの称号を保ちつつ、王室の公務に携わらなくなった場合はその称号を使用しないということで故エリザベス2世女王と合意していたのだ。
メーガン妃の名前はシンプル

いっぽう、メーガン妃はヘンリー王子とは別の道を取ったようだ。アーチーの出生証明書の時とは違って、リリベットの書類には、王室由来の称号が一切書かれていなかった。というわけで、メーガン妃の名前はシンプルに「レイチェル・メーガン・マークル」とのみ書かれていた。
アーチーの場合は

話を2019年5月に巻き戻そう。息子アーチーが生まれた時、ヘンリー王子とメーガン妃はふたりとも現役の王族だったし、そのことが書類にもはっきりと書かれていた。メーガン妃は「サセックス公爵夫人レイチェル・メーガン妃殿下」と書かれており、職業欄にもそれぞれ「王子」「英国王女」と事もなげに記載してあったのだ。
数週間後に静かな変更が

だが事態はそれでおしまいとはならなかった。アーチー誕生から数週間後、出生証明書に記されていたメーガン妃の名前がこっそりと変えられていたのだ。書類からファーストネームの「レイチェル・メーガン」が消え、「サセックス公爵夫人妃殿下」というものものしい称号だけが残されていた。
タブロイド紙が騒いだが

この変更はタブロイド各紙からさまざまな憶測を呼んだが、すぐにメーガン妃の広報担当が一蹴。「2019年に行われた、公的書類に記載する名前の変更は宮殿からの要請による」とし、メーガン妃もヘンリー王子もその過程に関与していないと断言したのだ。メーガン妃側によると、この決定を下したのは宮殿であり、その他のあらゆる憶測は「王室内の対立を煽る扇情的な見出し」に過ぎないということだ。
最近ではパスポート発給でもめたことも

さらに、最近では子供たちのパスポートをめぐってもひと揉めしている。ヘンリー王子とメーガン妃によると、ふたりの子供のパスポートの発給に、なんと半年も待たされたという。この遅れが子供たちに「HRH」の称号を使わせたくない英王室の意向によるものだと考えたヘンリー王子は、子供たちの姓を「マウントバッテン=ウィンザー」ではなく、「スペンサー」に変えることを検討したとか。「スペンサー」はヘンリー王子の母親、故ダイアナ妃の旧姓だ。
姓の変更を検討

関係者によると、ヘンリー王子は名字の変更について叔父のスペンサー伯爵に相談までしたという。『エクスプレス』紙が報じている。とはいえ、王室側は即座に、パスポート発給の遅れに国王や王室の意向が関与しているという疑惑を否定した。
弁護士の働きかけが功を奏した?

『ガーディアン』紙によると、子供たちのパスポートはその後しばらくして発行されたという。だが、それも夫妻の弁護士がイギリス内務省に情報公開を迫る書簡を送付した後のことだった。
公式に名字はサセックス

両親の爵位を名字として扱うのは、イギリス王室の伝統だ。ヘンリー王子も学生時代は「ヘンリー・ウェールズ」と名乗っていた。サセックス公(ヘンリー王子)の子供たちであるアーチーとリリベットも、今のところ「サセックス」を名字としている。
画像:archewell_sussex_ / Instagram
サセックス王子・王女

アーチーとリリベットの出生証明書には本来の姓として「マウントバッテン=ウィンザー」と記されていたが、チャールズ国王の戴冠式以来、これも「サセックス」に変わっている。祖父であるチャールズ国王が戴冠したことで、ふたりの王位継承順位も上がり、いまではサセックス王子・王女というわけだ。
メーガン妃は?

ちなみにメーガン妃は、Netflixの冠番組『ウィズ・ラブ、メーガン』で女優のミンディ・カリングに対し、「私(の名字)もいまではサセックスです」と語っている。実際、『ヴォーグ』誌も指摘するように、「メーガン妃がメーガン・サセックスと名乗ることに何の問題もない」のだ。メーガン妃以外にも複数の王族が爵位を名字として扱っている。こういった問題に詳しい出版社「Debrett’s」によると、「ヘンリー王子がサセックス公となったいま、その妻や子供たちがサセックスを名字とすることができるし、実際にそうなっている」ということだ。
画像:Netflix『ウィズ・ラブ、メーガン』より
子供たち自身に決めさせたい

ヘンリー王子は子供たちについて、「HRH」の称号を保つことを希望している。王子の考えとしては、子供たちが王室との密接な関係を維持するか、距離を置くかは、子供たち自身に決めさせたいということのようだ。
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