水族館のパフォーマンス、飼育員たちの笑顔の裏側

ライブのライブ感を楽しむ, 飼育員と生きもののやりとりも、おもしろさのひとつ, サイン出しの裏に, サインはどこの水族館でも同じ?違う?

イルカやアシカなど、水族館の人気者たちのショー(ライブ)にはハプニングがつきもの(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』/集英社インターナショナル)

イルカやアシカなど、水族館の人気者たちのショー(以下、ライブ)にはハプニングがつきものだそうです。ご褒美にあげる魚をばらまいてしまいそのままご飯タイムに突入なんてことも。その舞台裏はいったいどうなっているのでしょうか。飼育員たちの涙ぐましい努力をコミカルに描いた『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』より一部抜粋し、水族館の裏側をお届けします。

ライブのライブ感を楽しむ

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

飼育員と生きもののやりとりも、おもしろさのひとつ

みごとなジャンプ、可愛いしぐさはライブの見どころだが、個人的には飼育員と生きもののやりとりも、おもしろさのひとつだ。といっても、飼育員の存在感をなるべくなくそうとしている園館もあるので、こっそりと味わうことにしている。

【4コママンガで読む】水族館のライブパフォーマンス「笑顔の飼育員のただならぬ裏側」

生きものにも性格や気分がある。やる気満々の個体、集中力がない個体、新人飼育員を舐めている個体など、状態はさまざまだ。飼育員は座り方や尾びれの向きなど、ちょっとした素振りから彼らの気分やほかの個体との関係性を読み取り、臨機応変にライブを仕上げている。ヒトどうしの距離感すら見誤ってしまう筆者には到底不可能な技である。

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

とはいえ、ライブにアクシデントはつきものだ。いつも予想どおりにいくとは限らない。逆にそれを売りにしている園館もある。また、飼育員自身がプールに落ちるなどの非常事態を引き起こすこともある。

そういった状況も、何事もなかったかのように笑顔で乗り切っているが、内心は思うところがあるんだろうな、と邪推してしまう。終了後に飼育員どうしで顔を見合わせているようすが、けっこうたまらない。

サイン出しの裏に

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

自他ともに認める、水族館でもっとも人気の職員、それがイルカトレーナーである。カッコ良いサインで華麗に指示を出す姿を、子どもたちは目を輝かせながら見つめている。魚類飼育員は浴びたことのない視線だ。

サインは華麗な技をくり出すためだけのものではない。日々のコミュニケーションや、体温測定・採血といった健康管理を円滑に行うためにも使用される。

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

サインはどこの水族館でも同じ?違う?

このサイン、じつは全国共通ではない。なのでほかの園館から引越してきた海獣に対しては、移動元で使用していたサインを用いながら、徐々に移動先のサインに慣らしていく。

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(画像:『水族館飼育員のただならぬ裏側案内』)

新しくサインを開発することもある。ひとりの飼育員が担当するのだが、生きものにサインを覚えてもらえば終わりではない。ほかの飼育員がそのサインを出して成功したときに、やっと完成するのだ。

サイン出しには微妙な個人差がある。自分のサインを撮影して、カッコ良く見える角度などを研究しているらしい。

ライブのとき、絶妙なタイミングでジャンプできるよう計算しながらサイン出しをする飼育員。その笑顔の裏には努力が隠されているのだ。