道のど真ん中で停車したパトカー、「迷惑すぎる」と波紋呼ぶが… 実は「正しい停め方」と判明

この世には、たとえ頭で「正しい」と分かっていても、体が拒否反応を示してしまう事例が少なくない。

現在X上では、道路上で警察官がとった「パトカーの停め方」をめぐり、議論が起こっているのをご存知だろうか。

 

画像をもっと見る

■パトカーの停め方にギョッとした…

ことの発端は、制約理論と待ち行列理論による技術経営アドバイザリ、トラブル続きなシステム・開発組織の健全化を行なうTOCQ社のCEO・山崎氏が投稿した写真付きポスト。

投稿には車道にて撮影された写真が添えられており、道路左側に停車した車と、その後方に道路の「ど真ん中」で停車したパトカーの姿が確認できる。

■パトカーの停め方にギョッとした…, ■「パトカーがおかしい」「いや、正しい」と物議, ■警視庁は「避けて頂くのが望ましい」, ■正しくない駐停車が「各地で散見される」, ■執筆者プロフィール

自転車レーン沿いの駐停車

(画像提供:山崎氏)

そして、ポスト本文には「パトカーが自転車レーンを避けて路駐をしてたので、警官の方に『こちらの停め方が正しい方法ですか?』と尋ねたところ、「前方の車の停め方が正しいと思われがちですが、本当はこちらが正解なんです」と教えて頂いた」と、綴られていたのだ。

関連記事:日本一恐ろしい道路看板、警告の内容にゾッとした わずか数分で「死亡する」恐れも…

■「パトカーがおかしい」「いや、正しい」と物議

ポスト本文は「だけど直感的には抵抗があるw」と締められており、山崎氏と同じく、違和感を覚えた人は多いだろう。

実際、当該のポストには「パトカーの停め方がおかしくない?」「これ、左側に寄せちゃ駄目なの?」「確かに自転車側からすると、車道に迂回して走るのは怖い」「邪魔に見えるのはパトカーの方だけど、事故が起こりやすいのは前の車の停め方だと思う」など、様々な意見が寄せられていた。

ポスト投稿主・山崎氏に話を聞いたところ、当該の写真は東京都台東区の某所にて撮影したものと判明。

■パトカーの停め方にギョッとした…, ■「パトカーがおかしい」「いや、正しい」と物議, ■警視庁は「避けて頂くのが望ましい」, ■正しくない駐停車が「各地で散見される」, ■執筆者プロフィール

自転車レーン沿いの駐停車

(画像提供:山崎氏)

当時の様子については「写真だと分からないですが、パトカーのハザードはついており、中には2名の警察官がいらっしゃいました。なので、ポスト本文の『路駐』は正しい表現でないかもしれません」「中の警官の方々がお時間があるようだったので、お尋ねしたところ、ご丁寧に教えてくれました」とのコメントが得られている。

都内の道路はドライバーに対する「ひっかけ問題」のような場所が多く、時々「なぜここで切符を切られているのだろう?」という場面にも遭遇するという山崎氏。

そのため、そうした場に居合わせた際は、自身も判断を誤らないよう「どういう違反なのか」という点を、よく尋ねるのだという。

そこで今回は、大きな物議を呼んだパトカーの停め方をめぐり、警視庁に詳しい話を聞いてみることに。

関連記事:迷惑すぎる無断駐車、ブチ切れた借主の反撃にギョッとするも… なぜか「優しい」と称賛の声

■警視庁は「避けて頂くのが望ましい」

今回の取材に際し、警視庁の担当者は「自転車レーンとは、道路交通情報の『普通自転車専用通行帯』のことです」と、前置き。

こちらを踏まえ、「車両の専用通行帯が設けられた道路では、その区分に従って通行しなければならないので、『普通自転車専用通行帯』のある道路では、自転車は原則そこを通行しなければならず、他の車両は原則として通行できません」と、説明してくれた。

なお、「普通自転車専用通行帯」(自転車レーン)が設けられている場所には「駐車禁止」(道路交通法第45条)標識が設置されているケースが殆どであり、その標識の効力によって、原則「駐車禁止」となっている。

「駐停車禁止」(道路交通法第44条)の標識がある場合は、当然「停車」も不可能である。

ただし、「駐車禁止」および「駐停車禁止」の標識が無い場合に関しても、警視庁の担当者は「普通自転車専用通行帯上の駐停車については、同通行帯の設置目的を鑑みると、できる限り同通行帯がある場所での駐停車は避けて頂くのが望ましいです」と、実情を明かす。

「駐車禁止」「駐停車禁止」の交通規制が無い場所で、止むを得ず同通行帯上に駐停車をする必要がある際には、道路の左側に沿って、かつ他の交通の妨害とならないよう、同通行帯内に入って駐停車することとなる。

※道路交通法第47条第1項・第2項(停車又は駐車の方法)

関連記事:高速道路を走る怪しいトラック、あり得ないナンバーにゾッとした 「違反では?」と疑問の声続出

■正しくない駐停車が「各地で散見される」

■パトカーの停め方にギョッとした…, ■「パトカーがおかしい」「いや、正しい」と物議, ■警視庁は「避けて頂くのが望ましい」, ■正しくない駐停車が「各地で散見される」, ■執筆者プロフィール

自転車レーンへの駐停車

ここで、警視庁の回答にあった「普通自転車専用通行帯の設置目的」を、掘り下げてみよう。これは言うまでもなく、自転車が安全に通行できるよう区画されたエリアである。

そのため、同通行帯内に駐停車している車両があれば、自転車の通行の妨げになるばかりでなく、自転車が駐停車車両を避けて同通行帯の右側にはみ出して通行しなければならず、交通事故の危険が生じてしまうのだ。

■パトカーの停め方にギョッとした…, ■「パトカーがおかしい」「いや、正しい」と物議, ■警視庁は「避けて頂くのが望ましい」, ■正しくない駐停車が「各地で散見される」, ■執筆者プロフィール

自転車レーンへの駐停車

警視庁の担当者は「しかしながら、現実には駐停車をしている車両が各地で散見されていることから、普通自転車専用通行帯がある場所での駐停車は、できる限り避けて頂くよう啓発していかなければなりません」ともコメントしていた。

交通レーンを外しての駐停車はルールに則した正しい手順。慣れないうちは違和感があるかもしれないが、勇気を持って実施してほしい。

関連記事:道端に停車したパトカー、車体の5文字にギョッとしたが… 日本一優しい警官に「素晴らしい」の声

■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)