エイジングを楽しむカトラリーと出合える、香川県高松市発「コノヒノ道具店」

香川漆器や庵治石など、伝統的な工芸品が根付く香川県高松市。そんなものづくりの町にアトリエを構えたカトラリー作家・樫原ヒロさんの実店舗が、2024年4月にオープンしました。店内にはカトラリーをはじめ、樫原さんがセレクトした作家の手仕事の品々がそろいます。

ことりっぷ

古びた倉庫の扉を開けると、洗練された空間が広がるカトラリーショップ「コノヒノ道具店」。木製のアンティークテーブルに、細身でクラシカルなデザインが特徴のカトラリーが整然と並びます。ものづくりにおいて、ストーリーを大事にしている店主の樫原さん。売る過程も作品の一部との想いで、物語を感じる店内レイアウトを心がけています。

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こちらで販売されているカトラリーを手がけるのは、店主でありカトラリー作家の樫原さん。もともとはシルバーアクセサリーを作っていましたが、料理好きな奥さんの影響で、カトラリー作家に転身したとか。一点一点、口あたりを良くするための仕上げ加工もていねいに行います。 香川県はファクトリーカルチャーが根強いものの、日常のなかに工芸を感じられる機会が少ないと感じていた樫原さん。そこで、アトリエを併設したショップにすることで、ものづくりの現場に触れる機会を提供しているのだとか。スタッフが作業する工房は隣にありますが、ショップ内にも作業スペースが設けられ、そちらで樫原さんの手仕事を目にすることができます。

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樫原さんが扱うのは、ヨーロッパの銀食器でよく使用されている真鍮や洋白といった素材。使い込むほどに深い艶が出てくるのが特徴です。焼付のあとのコーティングは敢えて施さず、長年使い続けるなかで美しくなっていくエイジングを楽しんでもらえるような、アンティーク調の風合いに仕上げています。

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デザインの背景には自身が美しいと感じた情景や事柄のストーリーが込められ、使いやすさも兼ね備えた作品へと昇華させています。バレリーナのジャンプを形で表したシリーズ「ジュテ」は、繊細さと軽やかな躍動感をシンプルなシルエットの中に表現しています。このほかにも、穂からインスピレーションを得た華奢な見た目の「スピカ」、娘との思い出の映像が込められた刷毛や筆のようなフォルムの「メレ」、チューリップの花をイメージした丸みを帯びた形がかわいい「トゥルペ」など、それぞれの物語が込められたシリーズがそろいます。

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店内では、カトラリーと一緒に食事を彩る食器をメインに、暮らしにまつわる道具も販売しています。取り扱う作品はどれも樫原さん自身がセレクトした作家のもので、手作りの温かみに満ちています。料理が映えるシンプルな器には、樫原さんの作品同様、背景やストーリーが込められています。

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器のほかにもカゴ類の取扱いも豊富。天然素材からアイアン素材まで、素材、形、サイズもさまざまにそろいます。この他にも、竹かごや木工のカッティングボード、ガラスポットなど、それぞれの素材からていねいに作られた手仕事が並びます。

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店頭では、手作りの焼き菓子やジャムなどに出合えることもありますよ。カトラリーをはじめ、器やかごなど、作家の想いが込められた暮らしのアイテムを探しに、ぜひ足を運んでみてくださいね。