50歳で白髪染めを卒業。見た目の違和感なくグレイヘアに移行できた理由

40代、50代となると気になる人も増えてくる「白髪のケアどうするか問題」。40代で都会暮らしをやめて北海道に移住し、SNSで発信する「究極にストレスフリーな生活」が、ミドルシニア世代から絶大な支持を受ける「りさねーぜ」こと酒井りさこさんに、グレイヘアにしたきっかけや、違和感なく移行するコツについて教えてもらいました。

りさねーぜ(酒井りさこ)さん

【実際の写真】50歳でグレイヘアになったりさねーぜさん

無理をしない年相応の美しさへの気づき

グレイヘアにしたのは50歳のときです。もともと白髪の出やすい体質なので、30代から

ちらほら出始めた白髪を染めて隠していました。当時多くの人がそうであったように、私も白髪は染めるものだと思っていましたし、女性は若く見えることに価値があると信じて疑いませんでした。

これって一種の呪いですよね。当時の日本の若さ至上主義の風潮に、すっかり洗脳されていたんだと思います。

そのせいで、20代から30代、30代から40代と、どんどん若さを失い老いていくことに恐怖すら感じていて、白髪やシミ、シワ、体型のくずれといった老化を、なんとか食い止めて若く見せようと必死にがんばっていました。

私が40代後半のころ、2010年代でしょうか、世間では「美魔女ブーム」が起きていて、

ものすごく若く見える40代や50代がやたらメディアに出ていました。

私も彼女たちを見て「キレイだな」とは感じました。だけど、そうなりたいかと聞かれたら、答えはノー。なんだか大変そうですし、私はもっと気楽に生きたいと思いました。

そのころ、白髪の量も増えてきて、美容室でちゃんと染めていても、2週間も経て生え際が白くなってくるので、白髪隠し用の黒いファンデーションのようなもので生え際を黒く塗って隠していました。

50歳で白髪染めを卒業。見た目の違和感なくグレイヘアに移行できた理由

そのとき思ったんですよね。これ、いったいいつまで続けるんだろうって…。60歳まで? だとしてもまだ10年以上もある。

それに、70代の母親もいまだに真っ黒に染め続けている。そして、その真っ黒に染まった髪と70代相応の顔のバランスが、私にはとても美しいとは思えなかったのです…。

もう、染めるのやめようかな…。そう思い始めたものの、すぐには実行できませんでした。今までずっと染め続けてきたのに、急に白髪になったら周りの人たちはどう思うだろう? やっぱり白髪頭になったら老けて見えるよね? おばあちゃんに見えちゃうかな? 老けて見えない白髪スタイルなんてあるのかな?

そう思って、白髪ヘアの女性がいないか、ネットでものすごく検索しました。

●近藤サトさんのグレイヘアに衝撃

その頃に、テレビで近藤サトさんを見かけたんです。最初は驚きました。「え、白髪のままテレビに出ていいの?」というのが私の率直な感想。

でも、驚いたのは単に見慣れなかったからだと気づきました。しばらく見ているうちに違和感はなくなり、おかしいのは「白髪は染めて隠すべきもの」と思い込んでいた私の偏った価値観だとハッとしました。

そもそも白髪を隠さなきゃいけない理由なんて、なにもない。

それでもやっぱりグレイヘアにすると、老けて見られることはあるだろうと思います。だけど、そうだとしてなにか不都合があるだろうかとも考えたんですよ。「年齢がかなり上に見られたとして、なにか困るだろうか? いや、困らないよね」

50代なのに60代に見えるからあなたとはもうつき合いたくないと言う人がもしいたら、それはそれでいいかなって思ったんです。そんな考え方の人と、この先つき合いたいとは思えないですしね。

覚悟を決めてグレイヘアに

若々しく見られたいけれど、無理に若づくりはしたくない

そして50歳になったタイミングで白髪染めをやめました。今まで染めていた髪の毛をグレイヘアに移行することでの苦労もよく耳にしますが、私の場合はあまり苦労せず、比較的スムーズでした。

理由としては、1年ほどカラートリートメントで染めていたこと。カラー剤で頭皮がかゆくなったり、染めたあとに具合が悪くなったりすることが増え、カラートリートメントにきり替えていたんですよね。

そのおかげで、カラー剤で染められた髪の毛がなくなっていました。つまり、カラートリートメントをやめると、だんだんと色が抜けていく状態に。新しく生えてきた白髪との差が、あまりなかったんです。なので、根本だけ白くなる期間がほとんどない状態でグレイヘアに移行することができました。

この、カラートリートメントにきり替えてから移行する方法は、違和感なくグレイヘア

にする手段としてはおすすめです。

ただ、カラートリートメントは、週に2、3日使用しないと色が抜けてしまうので、それはかなり面倒でした。カラートリートメントといっても、カラー剤で染めるのとあまり変わらない手間はかかるんですよね。

●グレイヘアにしたときの周囲の反応

というわけで、だいたい半年ほどでグレイヘアに移行できたわけですが、周りの人の反

応はどうだったかというと…。

おおむね良好でした!

まあ、そう思う人しか声をかけてこないこともありますが(笑)。もしかしたら「うわぁ、最悪」と思っていた人もいるかもしれませんが、そんなことわざわざ本人には言ってきません。

言ってくるとしたら、それはグレイヘアがどうこうという問題ではなく、私のことをものすごく嫌いで攻撃したい人ですよね。

ただ、インスタグラムで発信をしていると、心ないコメントをしてくる人はいます。なんでも文句を言いたがる人はいるので、それは仕方がないのですが、それよりもモヤモヤするのは「白髪を染めると、もっと若く見えますよ」「顔はお若いのに、染めないのはもったいないですよ」っていう親切なトーンの余計なお世話コメント。

染めたい人は染めればいいし、若く見られたいという気持ちも否定はしない。だけど、

その考えを他人に押しつけるのは違うのかなって思います。

「年相応」って言葉を、世間一般の常識の枠に当てはめて使うのは好きではありませんが、年齢なりの楽しみ方や美しさってあると思うんです。

好きな服、好きな髪型、好きな髪色、好きなメイク。何歳になっても「好きにすればいい」と思っています。でも「若く見られたい」ということだけにとらわれると、「年齢を重ねることで生まれる美しさ」が失われていくような気がするんです。

テレビやSNSを見ていると、日本の社会は、今でも本当に若い女の子が好きだなぁという印象を受けます。若いというだけで優遇されることは実際にたくさんあるので、若さにしがみつきたい気持ちもわかります。実際に私もそうでしたしね。

でも、その思いにとらわれているときは、本当に苦しかった…。だから、そんな呪いにだれも苦しめられない社会になったらいいのになって、心から願います。

※ この記事は『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』(KADOKAWA刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。