NHK『虎に翼』で強烈な印象残した20歳俳優が、新作ロケで実感した“朝ドラの影響力”「おばあちゃんたちが…」

 若手俳優の山時聡真さん(20歳)が、映画『蔵のある街』で初主演を飾りました。本作では、大切な友人との約束を果たすため、街に花火を上げようと奔走する高校生・蒼を演じています。

山時聡真さん

 山時さんは、スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』の主人公・眞人役で話題をさらい、ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された』(2023)、NHK連続テレビ小説『虎に翼』(2024)、『ちはやふるーめぐりー』(2025)など、話題作に続々と出演中の若手実力派。

 俳優としての想い、あこがれの先輩など、さまざま聞きました。

◆「やってやるぞ!」と気合が入った

©2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会

――この『蔵のある街』は映画初主演とのことですが、出演が決まった時はいかがでしたか?

山時聡真(以下、山時):初主演という今まで経験したことがない立場に、身が引き締まる思いでした。責任感も抱きつつ「やってやるぞ!」という気合いが自然と入りましたし、家族が一番喜んでくれました。僕は5歳からお芝居をやっていたので母が小さい頃から現場に同行していて、一番成長を見守っている人だと思うので、とても喜んでいました。

――主人公の蒼は倉敷の街に花火を上げるために奮闘する高校生ですが、演じるうえでの準備はどのようにしましたか?

山時:撮影は僕が大学1年生の時だったのですが、主人公はなるべく普通の高校生でありたいなと思っていました。その若い気持ちと言いますか、そのままの気持ちや表情を意識して、作らないようにしていました。

また、この作品は岡山の倉敷が舞台ですが、観てくださるすべての方たちに希望や勇気を感じてもらたいので、みなさんが共感できる人物像でなくてはいけないなと、そういう意味でも普通の高校生でいたいなと思いました。

◆あきらめてしまいそうなことでも果敢に挑んでいく姿

――その希望や勇気という想いは、具体的にはどのようなものですか?

山時:今作は想いをつなぐ映画だと考えていて、倉敷を舞台にしていますが、どこの街にも希望はあるという話だと思っています。たとえば今回は花火がモチーフですが、どこの街にも象徴となるものはあると思いますし、強みみたいなものがあると思うんです。コロナ禍のこともあり、花火が希望の象徴みたいな意味もあると思いますし。どんなきっかけでもいろいろなところに希望や勇気はあることを伝えたいなと思いました。

――そのことを代弁していく蒼を演じて、今思うことはありますか?

山時:蒼は、絶対にあきらめてしまいそうなことでも果敢に挑んでいく姿がかっこいいなと思っていて、その行動力に驚かされました。若者ひとりでも誰かの心を動かすことができることに僕自身も感動して。今回改めて学ぶことがたくさんありました。

◆あこがれの先輩は菅田将暉

――山時さんは、さまざまな役柄を演じ分けてきたと思いますが、お芝居をしている時は、どういうことを大切に演じているのでしょうか?

山時:僕は少し感覚的に演じている部分があるのですが、今一番大切にしていることは、まず全体を見て自分がどの立ち位置にいなきゃいけないかなど、役の前後の感情を大切にしています。

撮影では順番が前後することがあるので、そのつながりを最近は強く意識しています。特に今回の『蔵のある街』は出演シーンも多かったので、つながりを意識しないと感情に矛盾が生まれてしまうこともありそうだなと、台本を何度も読み返しました。あとはセリフから引き出される表情を僕は大事にしています。

――20歳になり、思うことはありますか?

山時:責任が出てきたなと感じます、未成年の頃、先輩に気を遣っていただいたことなどをすごく思い出して、今度は自分に後輩が出来た時にしてあげたいと思いますし、今は人との関わりを大切にしたいと思っている時期です。この映画もそうですが、つながりがやっぱり大切だなと思っていて、今はいろいろな方と出会い、話すことを心がけて生活しています。

――素敵な先輩を強いて挙げるなら?

山時:菅田将暉さんです。後輩に服をくれる会みたいなものが一年に一回くらいのペースであって、後輩みんなで参加するのですが、そういったところも素晴らしいなと思います。いつか自分の後輩にもできたらと思います。

――余談ですけど、菅田さんはちょうど20歳くらいの時に『共喰い』で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞していますよね。

山時:『共喰い』の時の菅田さんは19歳だったと思います。実は僕もそのことは意識していて、自分と同じ年齢の時にあの作品をやっていることを考えると、良い意味でプレッシャーにもなります。事務所の先輩でもあり、あこがれでもあるので、自分もそういう道を目指さなくてはいけないなと。その道を通ってこれからも成長したいと思っています。

◆倉敷ロケでは朝ドラの影響力を感じた出来事も

――ご自身も映画『君たちはどう生きるか』(2023)、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された」(23/NTV)、「民王R」(24/EX)など活躍が続いていて、その反響を肌で感じることがあるのではないですか?

山時:そうですね。ありがたいことに一昨年・去年あたりから「観ました!」と声をかけていただくことが増えました。『君たちはどう生きるか』と「最高の教師」が同じ時期に出た作品だったので、とくにその頃から街を歩いても声をかけていただくことが増えたと思います。

――昨年は朝ドラ『虎に翼』にも出演され、短いながらも強烈な印象を残されました。

山時:それこそこの『蔵のある街』を撮影していた時に、倉敷のロケで街のおばあちゃんたちが「朝ドラ観たよ」と言ってくださって。その年齢層の方たちに気づかれることは東京ではほぼなかったので、朝ドラの影響力はすごいなと感じました。『虎に翼』の時はピタッとした髪型だったのですが、このロケでは下ろした感じでまったく違う髪型だったので、何人かの方に気づいていただいた時は驚いた思い出があります。

――そういうみなさんの反応が増えて、思うことはありますか?

山時:誰かに観られているという意識は強くなりました。あとはみなさんに想いを届けられているというか、ドラマで救われたといってくださる方もたくさんいて、誰かの助けになれているのかなと感じています。特に今回の『蔵のある街』では、僕は倉敷の人間ではないので、なんとか倉敷の人になれるようにと、責任も感じていました。方言などに違和感を持ってほしくないと思っていたので。

◆勇気や希望を感じ、持ち帰ってもらいたい

――使命感も強くなっていく感じですね。

山時:そうですね、作品に出る機会をいただいたからには、観てくれた方に勇気や希望を感じ持ち帰ってもらいたいですし、全部の作品が勇気とか希望を与えるものかといったらそうではないのですが、どんな感情でもいいから何かを感じてほしいとは思うんです。その人の人生に刻まれるような作品やお芝居をしたい、といつも思いながらやっています。

――多忙ななか、今後やりたいことはありますか?

山時:アクションやスポーツを必死にやってみたいです。小さい頃からわんぱくで、身体を動かすことが大好きなんです。身体を動かしていれば、大抵のことは忘れられるので、何も考えず、丸一日身体を動かす時間を作りたいです。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃 スタイリスト/西村咲喜 ヘアメイク/髙橋幸一(Nestation)>

【トキタタカシ】

映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。