よく見る週刊誌かと思いきや…柴犬!作者の飼い主さんを直撃「自分的にもツボってる」
雑誌の休刊・廃刊が相次いでいる昨今、柴犬に関する魅力的な新雑誌が誕生!?
どれもこれも読みたい記事ばかり
違うんです。柴犬の男の子「豆次郎」くん(5歳)を飼っているしばわんこさん(@48dogchat1mame2)は、架空の雑誌の表紙を製作してXにアップ。その名も『週刊柴犬』です。これ、ひょっとして『週刊女性』を意識している?
同誌の表紙、よく見るとなかなかのクオリティなんです。「すれ違った人はみんな友達」「ノーギャラでお手なんて無理」「嘘でしょ? お風呂に入って3日目でもう『犬臭い』」など、表紙に踊る記事タイトルはどれも秀逸!
すごくおもしろいですが、どうしてこんなことをやり始めたのでしょう? しばわんこさんに話を聞いてみました。
◆柴犬が好きすぎて「柴犬目線の雑誌を作りたい」と思うように
架空の“妄想雑誌”の表紙を製作するようになった経緯を教えてください。
「柴犬が好きすぎて、普段から柴犬グッズを収集していました。しかし、いつしか物足りなくなって『柴犬目線で柴犬のためのなにかを作りたい』と思うようになったんです。そこから“柴犬が読む柴犬のための週刊誌”があればいいなと、Xに架空雑誌の表紙を投稿するようになりました。
パッと見て伝わる画像ではなく、マニア向けに『よく見てみるとジワジワ笑える』画像を作るのが楽しいです」
たしかに、『週刊柴犬』表紙に踊る記事タイトルをよく見るとジワジワ笑えてきます。たとえば、「可愛い子にはオヤツをください ノーギャラでお手なんて無理」は柴犬が読みたくなるであろう完全なる“柴犬目線”の記事です。
しばわんこさんは、『週刊柴犬』以外にも架空雑誌の表紙を製作。たとえば、柴犬の“恐怖体験”をテーマにした『本当にあった柴犬の怖い話』の表紙を見ると、「我が身を刃物で切り刻まれる戦慄の瞬間 爪切り」という記事タイトルが興味深すぎます。
目を細めた豆次郎くんの表情がより一層怖さを煽る
『柴犬口論』の表紙に書かれた「たまには飼い主が『いい子で留守番』したら?」という記事タイトルは、“柴犬目線”でブチ上げられた人間側への問題提起と言えるでしょう。
◆お気に入りの記事タイトルは?
付録の「マダムシバーヌデザイン おでかけバンダナ」が気になる
ちなみに、しばわんこさんご自身がお気に入りの記事タイトルはどれですか?
「『柴犬口論』の『コロッケじゃない キウイじゃない ましてや揚げパンでもない』が好きです。わが子(豆次郎くん)を眺めているといろんなものに見えてきて、妄想が膨らんでしまいます。オレンジのダウンベストを着ている姿はまさにボンレスハムだし、首やお腹のお肉がギュッとなっているのはチキンカツサンドみたい。『もしも、その部位が商品化して陳列されたら?』と考えると、たまりません(笑)。
あと、柴犬向け映画雑誌『シバイヌ旬報』の『シーバネータ 柴犬の寝かしつけドキュメント』も自分的にツボっています。『柴犬の寝かしつけドキュメント』という内容なので、元になった映画『ターミネーター』とは真反対の要素しかないです(笑)」
『柴犬神家の一族』は見てみたい
◆本物をリスペクトしつつ、著作権を侵害しないように留意
今まで製作された架空雑誌のなかで、しばわんこさんご自身が特にお好きなものはどれですか?
「どれも好きですね! 実際にある雑誌を柴犬パロディ化させた画像を作っては『可愛すぎる!』と自分で悶絶している瞬間が特に楽しいです(笑)。著作権を侵害しないよう、明らかに偽物だけれど本物をリスペクトした“伝わる画像”を作るため、一つの画像が仕上がるまでに数時間かけるときもあります」
求犬情報誌まであるとは……
各雑誌の表紙に起用されているのは、豆次郎くんですか?
「はい、うちの柴犬の豆次郎です! 赤柴の5歳で、とにかく人たらしの子です。外で会った人に近づいては『撫でて?』とおねだりして、『いい子だね』と言われて満足している策士ですね(笑)。家のなかでは私や主人に甘え放題&ワガママし放題の、“外面良し次郎”です」
“外面良し次郎”の柴犬・豆次郎くん
◆記事タイトルには実話もふんだんに盛り込まれる
特に、『本当にあった柴犬の怖い話』の表紙がおもしろくてハマってしまいました。表紙に載った「我が身を刃物で切り刻まれる戦慄の瞬間 爪切り」「知らない犬に囲まれて金縛り状態で動けない…… ドッグラン」「あまりにも夢中になりすぎて気づいた時には ご飯、もうない」など同号に載った記事タイトルは、すべて実際に豆次郎くんが体験した恐怖体験談なのでしょうか?
「ほとんど豆次郎の実話ですが、『特集 動物病院 診察編・注射編・屈辱のおちりしぼり編』だけ違います。豆次郎は病院が好きなので、診察でいつも獣医さんにチューしようとして拒否されています(笑)。待合室にいるほかのワンちゃんは病院が苦手な子も多いようで震えたり逃げようとしたりしていますが、豆次郎はほかの飼い主さんに愛想を振り撒き、抱っこされながら寝ている猛者です」
口をあんぐり開けて恐怖におののく(?)豆次郎くん
◆“拒否柴”の深い理由
『週刊柴犬』の「飼い主よ、察したまえ 拒否柴には深い訳がある オイラ達には拒否する深い理由があるって知らないのかい?」という記事タイトルにも惹かれました。実際、拒否柴にはどのような深い理由があるのでしょうか?
「飼い主よ、察したまえ」という呼びかけにドキッとする
「時と場合によりますが、私の想像だと『もう疲れた』『あれ、なんでこんなところに来ちゃってんの?』『ここからどっちに行こうかな?』『今、人間には聴こえない周波拾ってるから静かにして』『ウン◯の目的は果たしたので抱っこされて帰りたい』とかですかね?」
「ノーギャラでお手なんて無理」(『週刊柴犬』)や「我が身を刃物で切り刻まれる戦慄の瞬間 爪切り」(『本当にあった柴犬の怖い話』)、「たまには飼い主が『いい子で留守番』したら?」(『柴犬口論』)など、表紙に踊る記事タイトルが秀逸でおもしろいです。しばわんこさんの本業は編集者さんなのでしょうか?
「本業は、主婦 兼 営業事務で、編集とはまったく無縁な業種です。強いて言えば、子どもの頃から“人とは違うものを作って楽しんでいるタイプ”でした。グッズ展開されていないキャラクターのグッズを手作りしては、ニヤニヤしています(笑)」
◆柴犬雑誌はこれからも続々と発刊予定
今まで発表してきた架空の雑誌に対し、フォロワーの方々から寄せられた反響のなかで印象的なものはありますか?
「今年9月から、NHKで“柴犬雑誌編集部のドラマ”(『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』)が始まることになったそうです。SNSで流れてきたドラマの告知画像はまさに雑誌表紙風で、フォロワーさんから『これも、しばわんこさんが作った表紙かと思った』と教えられたときはビビりました(笑)。
『公共放送で私の妄想が現実化した……という幻覚?』とも一瞬思いましたが、まったく無関係ですし、内容や趣旨もたぶん違うと思います」
最後に、今構想している新たな“架空の雑誌”の構想を教えてください。
「今準備中なのは、『飼い主飼育BOOK』と『世界柴犬物語シリーズ』です。内容はお楽しみ! です(笑)」
現実社会では雑誌業界に逆風が吹いていますが、妄想のなかでは柴犬雑誌が躍進中。これからも続々と発刊されるとのことで、どの雑誌も定期購読したいくらいです!
<取材・文/寺西ジャジューカ>