「墓じまい」はいくらかかる?お墓の種類と費用を徹底解説。「散骨」に潜む意外なデメリットも
かつては代々受け継がれていたお墓。しかし現在では、核家族化により承継する人が不在のケースや、遠方にある実家のお墓を近所に移したいというケースも少なくありません。そういった場合、「墓じまい」を選択する人が増えてきているといいます。今回は、夢相続代表で相続実務士の曽根恵子先生に、墓じまいに必要となるお墓の種類や費用について教えてもらいました。
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
【図表】お墓の種類と費用一覧
「墓じまい」をする際に知っておきたいこと
墓じまいをする際に必要となるのが、もとのお墓に入っていた遺骨の引っ越し先です。
引っ越し先には、「承継タイプ」と「永代供養タイプ」の2種類があります。承継タイプは、お墓を維持・管理する人を決め、その人がお墓を守っていく形になります。承継者がいなくなれば、維持・管理はできません。
一方の永代供養タイプは、承継者が必要なく、遺族の代わりに墓地管理者が維持・管理をしてくれます。承継者がいない場合は、永代供養タイプを選択しましょう。
承継タイプや永代供養タイプのほかに、お墓をもたない散骨や手元供養という方法も現在は人気です。
しかし、代々承継してきたお墓には先祖代々の遺骨が納骨されています。そのため代々のお墓の墓じまいをする場合は、遺骨の数が多すぎるので、散骨や手元供養は現実的ではありません。
それぞれのお墓の「費用の相場」
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承継タイプのお墓には「家墓」と「両家墓」の2種類があります。家墓は先祖代々のお墓のことで、両家墓はふたつの家のお墓をひとつにまとめたお墓のことです。
新たにつくる場合、家墓であれば100万円~350万円、両家墓なら100万円~400万円が費用の相場です。また、承継タイプのお墓には、永代使用料と年間管理料が必要となります。
永代供養タイプには、「単独墓」「合葬墓」「納骨堂」「樹木葬」などの種類があります。永代供養タイプは、最初にまとめて永代供養料を支払えば、基本的にその後の出費はありません。
永代供養タイプのそれぞれの費用の相場を見ていきます。
●1:単独墓
単独墓は、1人で入るお墓で、個人名が刻まれるものです。永代供養にしたいけど、他人と一緒に供養するのは抵抗があるという人に向いています。永代供養料はだいたい40万円からで、それにプラスして墓石費として40万円~が必要となります。
●2:合葬墓
合葬墓は、不特定多数の遺骨と一緒に埋葬するお墓で、基本的に宗派に関係なく供養することができます。永代供養料は10万円~と、比較的安価ですが、埋葬後は個別に遺骨を取り出すことはできません。
●3:納骨堂
納骨堂は、土のなかではなく屋内の収蔵スペースに遺骨を安置する施設です。永代供養料は15万円~150万円と、施設によって大きく変わります。お寺が管理する納骨堂の場合、檀家になることを要件にしていることもあるので注意が必要です。
●4:樹木葬
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とするお墓のことです。一般的には合葬されるので、供養後に遺骨を取り出すことはできません。永代供養料は20万円~100万円くらいが相場です。
お墓の種類と費用一覧
また、承継タイプでも永代供養タイプでもない散骨や手元供養の場合、散骨は5万円~30万円くらいが相場で、手元供養は自宅に遺骨を安置して供養する方法なので、費用は供養品代のみです。
費用は受け入れ先によって大きく異なる場合もあります。ここで紹介したのは、あくまで相場なので、正確な費用は受け入れ先の管理者に確認しましょう。
お墓代や永代供養料以外にもお金がかかる
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
墓じまいをする際には、お墓の建造料や供養料のほかに、墓石の処分費やお布施や手続きにも費用がかかります。墓石の撤去や処分には1平方メートルあたり10万円~20万円、遺骨の取り出しには遺骨1柱あたり1万円~3万円がかかります。
遺骨を取り出したあとには、墓から魂を抜くための閉眼供養を行うのが一般的で、これにはお布施代として3万円~5万円が必要です。
墓じまいをするということは檀家を離れることになるので、離檀料として10万円~30万円をお寺に支払います。また、遺骨を移す際には行政上の手続きも必要となり、改葬許可申請書の手数料として数千円が必要です。