今夏はとうもろこしと、和梨! 「同じパフェは作らない」…宝石のようなパフェを季節ごとに体験したい理由【パティスリィ アサコ イワヤナギ】

夏の香りに満ちている。

 美しく華やかで、おいしいものが彩り豊かに閉じこめられたパフェ。その人気は止まるところを知らず、美しさも味わいも日々磨きがかけられ、進化しています。

 グラスのなかで醸し出されるハーモニーは、まさにparfait(フランス語で「完璧」の意味)!

 今回は、等々力の人気店による宝石のようなパフェをご紹介します。

グラスの中に光を…ジュエリーのようなパフェ

緻密なイラストに構成が書かれたメニュー。

 フランス語で“宝石”を意味する「ビジュー」の名のとおり、宝石のような美しさと、贅沢かつ多彩な味わいで多くのファンを魅了する、等々力「PATISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)のパルフェビジュー®。

 誕生のきっかけは、博物館や美術館に並ぶような歴史的・芸術的なハイジュエリーをイメージしたデザートをつくってほしい、との依頼を女性誌から受けたことだったそう。

 「光がなければキラキラしないので、背の高いグラスに果物やジュレを層にして入れたのが、パフェのスタイルになった理由です。光の屈折でいろいろな色に見えるジュエリーの輝きを表現しました」と、シェフパティシエールの岩柳麻子さんは話します。

岩柳麻子さん。

 主役となるのは、たっぷりと盛り込まれた季節を彩る旬の果物(ときに野菜)です。そこに多種多様な素材を合わせて複雑みと面白さを表現し、最初から最後まで飽きることのない唯一無二の味わいをつくり上げています。

 「同じ素材であっても、毎年違うものを併せて、新しい味わいを作るようにしています。月日が流れれば時代も変わり、自分の舌で感じるものも変わっていきます。そうすると、去年と同じものをつくってもピンとこないこともあるから、生み出す苦しさを感じながらも、やっぱり毎年ベストなものを作りたい。翌年には、それを超えるベストを作らなくてはいけないから、また苦しいのですけれど」と笑う、岩柳さん。

 その味を求めて、新作が出るたびに全国各地からファンがお店を訪れ、目にも舌にも麗しいパフェとともに特別なひとときを楽しんでいます。

◆パルフェビジュー® 和梨×台湾

「パルフェビジュー® 和梨×台湾」4,950円(ドリンク付き)。2025年9月15日まで提供。

 8月半ばから提供がスタートしたのは、岩柳さん自身が7月に台湾を訪れ、レストラン「LiLinLi(栗林裏)」と行なったコラボレーションからインスピレーションを受けた、和梨のパフェです。

 「そのときに、オーナーシェフのWiseさんがやっていた組み合わせが面白くて。彼が使っていた多彩な台湾の食材を和梨と合うように加工して、取り入れてみました」と、岩柳さん。

トップのクッキーは手でどけて、少しずつ食べる人も多い。

 清々しい趣でグラスの上に盛り込まれているのは、和梨山椒へべすソルベと、みょうが、マーガオ飴、スナップエンドウ、セルフィーユ、白胡椒シュー、ぶどう山椒サブレです。どれも意外な組み合わせ! それでいて個性的で清涼感のあるスパイスがみずみずしい和梨とマッチして、心地よい調和を醸し出します。

 グラス中へと食べ進めると、現れるのは、奥深い香りと味わいの阿里山高山茶ジェラートと、香ばしいピーナッツきな粉クラックラン、香り豊かなグアバ山椒ジュレ、薄切りにしたシャキシャキの和梨とシャインマスカット。

 その下から、焼き和梨と自家製梅のコンポート、コリっとした白木耳(キクラゲ)のシロップ漬け、カッサータが顔を出し、もちもちのフングエ(黒糖を使ったお餅)が食感のアクセントを添えて、初めて体験する味わいと、新しいのにどこか懐かしいオリエンタルなハーモニーに心が躍ります。

多くのパーツを丁寧に重ねていく。

 驚きはまだ続き、グラスの底には白ゴーヤのシロップ浸けとマリネ、レモンジュレ、和梨梅コンポートが層を成し、すべてをまとめるかのようなすっきりとした後口でフィニッシュ。おだやかな余韻に包まれます。

 「味が淡く感じられる和梨ですが、まったく違う素材と合わせても意外に負けず、和梨そのものの風味が引き立って、新たな楽しさが出てくるのが面白いと思います」と、岩柳さん。

◆パルフェビジュー® とうもろこし ラシーヌ

「パルフェビジュー® とうもろこし ラシーヌ」5,060円(ドリンク付き)。2025年8月24日(日)までの提供。既に完売。来年も夏のパフェをお楽しみに!

 夏になると登場するのが、とうもろこしのパフェです。今年はすでに完売となってしまいましたが、とうもろこしの原産地とされる中南米のメキシコの文化や歴史的背景から着想を得て、かの地の食材やサルサのような味わいをプラスしたパフェが好評でした。

とうもろこしの甘さを余すことなく。

 トップを飾るのは、主役となる北海道産のとうもろこしと、そのソルベ、ヨーグルトとキュウリのサジキソースを塗ったトルティーヤチップ、トウガラシを思わせるフリーズドライのししとうです。パリパリに焼き上げた春巻きの皮にとうもろこしのディプロマットクリームを塗り、ヤングコーンやとうきび餅、乾燥させたとうもろこしのひげをのせた「シュマン とうもろこし」も添えられ、味わえば一気にラテン気分!

チリパウダーをパフェにかけるなんて!

 「最初に食べていただいても、お皿の上に取り置いてよきタイミングで召し上がるのもよいかと思います。別添えのチリパウダーも、お好みのタイミングでかけて味の変化を楽しいでいただければ」、と、岩柳さん。

 その下から現れるのは、とうもろこしと相性抜群の甘じょっぱいししとう味噌のジェラートです。歯触りのよいとうもろこしのクラックランがアクセント。

 さらには、清々しさあふれるライムミントスカッシュジュレ、キャラメリゼしたバナナとライムサワークリーム、パッションフルーツのシブースト、パッションガナッシュととうもろこしのバスクチーズケーキも現れて、カクテルのようなにぎやかさ。さまざまな香りや果実味、酸味、甘み、塩け、コク、食感が口の中で混じり合い、思いがけない調和に驚きや発見がいっぱい。楽しさが弾けます。

とうもろこしの季節だけ。

 そして、薄いチョコレートで仕切られた空間の下には、とうもろこしサルサとレモンジュレ、フレッシュなとうもろこしのソースが。塩けと酸味でひと呼吸置き、とうもろこし本来のピュアな味わいを堪能して締めくくるという演出が心憎く、全体を通じてとうもろこしの果実感や甘み、食感をさまざまな角度から楽しめるひと品となっています。

「単に味を楽しむだけでなく、予約して、パフェや季節に合わせた装いをしてお店を訪れ、パフェを味わうというひとつの体験として楽しんでくださるお客様が多くいらっしゃるのは、とても素敵なことです。みなさんに思い思いに楽しんでいただき、その一日が豊かになるような時間を過ごしていただけたら、うれしく思います」

PATISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)

所在地 東京都世田谷区等々力4-4-5

電話番号 03-6432-3878

営業時間 11:00~18:00

定休日 月・火曜

※パフェはオンライン予約のみ。

https://shop.asakoiwayanagi.com/