大切にしていたコップを巡って大げんか。翌日、夫は謝ることなく帰らぬ人に/木暮姉弟のとむらい喫茶(6)

大切にしていたコップを巡って大げんか。翌日、夫は謝ることなく帰らぬ人に

「病気で亡くなった夫の死を受け入れられない」「妻が亡くなって一人で家にいるのが寂しい」。そんな大切な誰かを喪った人を引き寄せる不思議な喫茶店「こかげ」。社交的なキッチン担当・千景の優しさあふれる料理と、喪失感を抱えたお客さんの気持ちをくみとるテルの接客で、不思議と心が癒やされて明日を生きる活力がわいてくる…。

もう会うことのできない相手に対する悲しみや後悔など、訪れる客のあらゆる想いを千景とテルが「弔いごはん」で晴らしていく『木暮姉弟のとむらい喫茶』を11回連載でお送りします。今回は第6回です。

※本記事はうおやま著の書籍『木暮姉弟のとむらい喫茶』から一部抜粋・編集しました。

おじいちゃんがおばあちゃんのコップを割っちゃったの

これは特別なコップなのよ!!

一晩中泣いたわ

あの人はひとりで散歩に出かけてその先で倒れてしまった

今でいう保育士さんをね、ずっと続けたい仕事だった

おばあちゃん、おじいちゃんのこと嫌いだったの?

お渡ししたかったものがあります

ヒェッ!?

著=うおやま/『木暮姉弟のとむらい喫茶』